先日同じ職場の人が自宅で倒れた。くも膜下出血で、なんとまだ20代です。幸い同居人が気づいて救急搬送し助かりましたが、一人暮らしの自分だったら…この猛暑です。原型をとどめない感じでエンディングしちゃってたでしょう。
その場合、片づけは誰がするのか👻?
ひとりで生きる者にとって最大にして最終の課題が「自分の死後の片づけを頼める人がいない」問題です。孤独死は良いのです。孤独死する事は確定してるし受け入れている。
そもそも孤独死ってなんだ?
人はみな、双子でもない限りひとりで生まれ、心中でもしない限りひとりで死ぬのだ。
問題は死んだあと、自分で自分の片づけが出来ないということです。何も準備していないと他人様に多大な迷惑がかかります。またせっかく真面目に生きてきたのに、最後の最後に尊厳を失ってしまいます。
こうした「親族難民」を対象にした死後事務委任契約を扱う民間団体はいくつかありますが、トラブルも多いと聞くし、最初に高額の契約金が必要だったりで安易に契約できません。
神戸市が2024年〜開始した「エンディングプラン・サポート事業」は、こうした問題を自治体がサポートしてくれる、まさに「こんなの待ってた」取り組みなのです。
事業の概要

頼れる身寄りがなく(※)、ご自身の葬儀や納骨に不安を持たれる方が、これらの手続きについて葬祭事業者と生前時に契約することを市が支援する仕組みです。
※親族がいても関係が疎遠で頼れない場合も含みます。
この、「親族がいても関係が疎遠で頼れない場合も含みます」まで踏みこんでくれたのが新しいと思います。
ほとんどの人がこれに該当するのではないでしょうか。誰かから生まれてきた以上、探せばどこかに親族はいる。ただ交流がなかったり、関係が悪かったりするだけで。
現状、孤独死すると役所はこのほぼ他人もしくは関係の悪い親族を戸籍から捜し出し連絡するが、拒否される場合も多いとのこと。そりゃそうでしょう。拒否されれば結局自治体がやることになるので、最初から「本人」に死後の事を決めておいてもらった方が、自治体にとっても良いのではないでしょうか。
内容

- 相談を受け付け、生活状況とあわせて希望者についてはリビングウィル(生前の意思)をお聞きします。
- 本事業に協力する葬祭事業者の情報提供を行います。
- 相談者と葬祭事業者との間で希望する葬儀、納骨などについて合意できれば、市の相談員立ち合いのもと生前契約(死後事務委任契約)を結んでいただきます。
- 必要な費用は葬祭事業者に預託していただきます。市は定期的に預託金の保管状況を確認します。
- 本人が亡くなられた際には、契約に基づく葬儀・納骨が行われ、市はその履行確認を行います。
そのほか、市は本事業の登録者に対し定期的に生活状況の確認や、リビングウィル(生前意思)の保管・関係者への情報提供を行います。
スゴイ。良くできてる。親族難民のニーズを的確に理解してくれてると思います。
対象者と費用

次の全ての要件を満たす必要があります
- 神戸市民の方
- 概ね65歳以上の方
- ひとり暮らし等で葬儀等を行う頼れる身寄りのない方
(親族がいても関係が疎遠で頼れない場合も含みます)- 所得要件を満たす方
- 年収230万円以下(≒平均月収19万円以下(税、保険料等控除後))
- 預貯金230万円以下
- 所有する不動産の固定資産税の評価額が500万円以下
- 生活保護を受給していない方
ご自身の葬儀、納骨について、本事業の協力葬祭事業者との間で契約していただきます
(死後事務委任契約)。
- 葬儀費用の上限:概ね30万円
- 納骨費用の上限:概ね5万円
- 事務管理費:1万円
計36万円程度を前納(預託)していただきます。
(希望により、追加費用を支払うことで葬儀内容等の拡充もできます。)
よし!神戸市に引っ越そう!
(・∀・)←※尼崎市民
いやでもまだ50代だし今のところ収入要件も超えてるし、引っ越したところで対象外です(・ω・、)ショボン…。
方向性としては素晴らしい。そして惜しい。
でも良い流れです。ぜひ他の自治体も続いてほしい。
あと費用多めに払ってもいいから年齢制限と収入要件なくしてくれたらカンペキです。孤独死って意外と現役世代にも多いし、おひとりさまって頼れるのがお金だけなので頑張って貯めてきた人も多いはず。年収や預貯金で線を引かないでほしいです。
これからの自治体に望むこと

日本は親族ありきの社会制度です。
困っていない人にとっては何でもない事かもしれませんが、親族いない、いるけど頼れない、関わりたくない人にとっては非常に生きづらい社会です。
いっそいなければ、いないんですぅ → 仕方がないねー。になりますが、厄介なのがいるけど関わりたくない場合です。
どんなにお金に困っても、親族への扶養照会されるのが嫌で生活保護申請出来なかったり、大人になってやっと地獄のような実家から脱出したのに、自分が死んだあと役所から親兄弟に連絡がいき、死んでも戻りたくない実家の墓に入れられたり。
他にも就職・賃貸契約・入院などで身元保証や緊急連絡先として親族が求められます。
なぜ多様性とかマイノリティとかを尊重尊重言う割には親族至上主義は絶対なのか。親兄弟と仲良くできない人間に人権はないのか。
まだ生きてる間は自力で何とかしたり、お金で解決したりできますが、死んだあとはどうする事も出来ません。
生前に結ぶ「死後事務委任契約」は、民間業者だと高額だし怪しいし、余命宣告でもされない限り安易に契約できません。
でも突然死の可能性もあるので早めに手は打っておきたいんですよね。
孤独死した人の4割くらいは現役世代なのです。充分あり得る話しなんです。
そもそも契約者本人は死んでいる👻 → 親しい家族いないから業者に頼んでいる → 家族からのクレームも来ない → 契約通り履行しなくてもバレない。
こんなビジネスモデル成り立たない。もちろんちゃんとしたところもあるだろうけど、人生最後にそんな大博打打ちたくない。

民間が担うには性質的に無理がある。行政にやってほしいのです。
もちろん税金でとは言わない。必要な費用は自分で出す。なんなら全て片づいた後、余った財産は市に全額寄付してもいい。
まともに会話したこともない兄弟や、会ったこともない親戚にお金が行くくらいなら、自分を住まわせてくれた自治体に感謝をこめて寄付した方がよほど良い。
そのお金で費用が出せない人のエンディングに役立ててくれれば本望です。
この良い流れを全国的にさらに進めてくれることを期待します。マイナンバーカードにエンディングノート機能とかあっても良いと思います。
安心して死ねる準備ができていれば、安心して生きられるのです。