毎年冬になると阪神尼崎駅のすぐ近くを流れる庄下川に、ユリカモメの群れがやってきます。
川沿いの手すりや、川の上に渡されたパイプの上に、ズラ〜と等間隔で並ぶ姿は、冬の風物詩となっています。ユリカモメたちが来るようになると「ああ、冬が来たな」と感じさせられます。

整然と1列に並ぶユリカモメたちは、阪神電車のホームで電車を待っている人間たちよりも、よほどお行儀が良いように見えます。
寒い曇り空の下でも、白い羽根の群れが景色を明るくしてくれています。

ユリカモメは、ロシアのカムチャッカ半島などの寒冷地で繁殖し、冬になると日本など比較的温暖な地域へ渡ってくる渡り鳥です。白い体に赤いクチバシと脚が特徴です。雑食性で、小魚や昆虫、人の食べ残しまで食べるたくましさも持っています。

この庄下川のユリカモメたち、人をあまり警戒しません。少し近づいても飛び立つことなく、こちらをチラ見して、「まいっか」みたいにじっとしています。
さらに近づくと、「しゃーないなー」みたいな感じで、ゆっくりと場所を移動したり、のんびり飛び立ったりします。

鳥を撮れるような超望遠レンズを持っていなくても、モデルになってくれる有難い存在です。
人に慣れているというより、この場所で安心しきっているように感じられます。あたかも行きつけの喫茶店や居酒屋でくつろぐ常連客のようです。

時にはユリカモメの行列の中に、しれっと鳩が混じっていたり、アオサギのような大きな鳥が混じっていることもあります。特に気にする様子もなく、同じパイプの上で一緒に並んでくつろいでいます。お互いに干渉せず、まったり羽を休めている姿は、なんとも微笑ましい光景です。
もっと静かで環境のよいところもあるだろうに、駅近で人通りも車通りも多く、あまりキレイとはいえないこの川に毎年やってくるのはなぜだろう。

阪神尼崎駅周辺は、いわゆる下町の雰囲気で、おしゃれ感はありません。
しかし、どんな人でもここにいていいのだと感じさせる懐の深さがあります。
もしかしたらユリカモメたちにとっても、この街は居心地の良い場所なのかもしれませんね。
